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労災保険二次健康診断等給付について

労災保険 二次健康診断等給付

労災保険 二次健康診断等給付の注意点

労災保険 二次健康診断等給付について

1. 概要・目的

 労働環境の激変により、健康に問題を抱える労働者が增加傾向にあります。
 特に、労働の過重な負荷(過重労働)や精神的ストレスなどにより脳・心臓疾患等を発症し、 死亡または障害状態に至り、労災認定される件数も増加しています。
 脳及び心臓疾患の発症は、本人やその家族はもちろん、企業にとっても重大な問題となっています。
 
 二次健康診断等給付とは、労働者の業務上の事由による脳・心臓疾患の発症を予防するため、労働安全衡生法に基づく定期健康診断等のうち、直近の結果において、脳・心臓疾患を発症する危険性が高いと診断された労働者の方々に対して、脳血管及び心臓の状態を把握するための二次健康診断、及び脳・心臓疾患の発症の予防を図るための医師等による特定保健指導を、労災保険(公費)により受けることができる制度です。 

2. 二次健康診断等給付の対象者

 一次健康診断 (労働安全衛生法に基づく定期健康診断) の結果において、以下の全ての検査項目に異常所見があると診断された「労働者」が対象です。

1. 血圧測定
2. 血中脂質検査
3. 血糖検査
4. 肥満度測定(腹囲の検査又はBM I

※ ただし、 全てに異常所見がなくても、産業医等の指示に基づき対象となる場合があります。 産業医等が診断を受けた労働者の就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見が認められると診断した場合には、産業医等の意見を優先して、異常の所見があるとみなされます。
※ ここでいう労働者とは、労働基準法第9条に規定する、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」のことです。このうち、安衛法で規定される定期健康診断等の対象者は「常時使用される労働者」を指します。なお、パートタイマー等の短時間労働者については、以下のいずれの要件をも満たせば、健康診断を行うべき常時使用する短時間労働者となります。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者を含む。)であること。
② 1週間の労働時間数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

 

 

  

3. 二次健康診断の内容

 二次健康診断等給付では、二次健康診断と特定保健指導が給付されます。
 
 ① 二次健康診断
 (1) 空腹時血中脂質検査
 (2) 空腹時血糖値検査
 (3) ヘモグロビンA1c検査(一次健診で受けた場合は不可。)
 (4) 負荷心電図検査又は心臓超音波のいずれか一方の検査
 (5) 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
 (6) 微量アルブミン尿検査(一次健診で±、+の所見の方のみ可)
 
 ② 特定保健指導
 (1) 栄養指導
 (2) 運動指導
 (3) 生活指導 

4. 費用

 全額、労災保険からの負担となりますので、自己負担費用は発生しません

5. 給付請求の方法

二次健康診断等給付を受けようとする労働者は、二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に必要事項を記入し、一次健康診断の結果を証明できる書類を添付して、杉浦医院(健診給付医療機関)を経由して、労働者が所属する事業場を所轄する都道府県労働局長(労働基準監督署経由)に提出します。
● 請求に必要な書類
 二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に記載する事項は、次のとおりです。
  (1) 労働者の氏名、生年月日及び住所
  (2) 事業の名称及び事業場の所在地
  (3) 一次健康診断の受診年月日
  (4) 一次健康診断の結果(一次健康診断の結果票の写し)
  (5) 二次健康診断等給付を受ける健診給付医療機関の名称及び所在地
  (6) 二次健康診断等給付の請求年月日
  (7) 事業主証明欄に事業主の証明 
● 給付を請求できる期間
 二次健康診断等給付は、一次健康診断の受診日から3ヶ月以内に請求しなければなりません。 
 これは、二次健康診断等給付は、一次健康診断の結果、脳 ・心臓疾患を発症するおそれが高い者に支給されますので、一次健康診断の結果判明後、できる限り早期に給付される必要があるためです。
 ただし、次のようなやむを得ない理由がある場合は除きます。
 (1) 天災地変により請求を行うことができない場合。  
 (2) 一次健康診断を行った医療機関の都合により、一次健康診断の結果の通知が著しく遅れた場合。

労災保険 二次健康診断等給付の流れ

6. 二次健康診断の結果

 二次健康診断等給付の受診結果は、杉浦医院(受診した健診給付医療機関)から「二次健康診断等の受診結果」(受診者用)により受診者にお知らせします。
 また、併せて事業主提出用の受診結果についてもお渡ししますので、受診者は、これを事業主に提出することとなります。

7. 事業主の責務

  1. 医師からの意見聴取(労働者災害補償保険法第27条、同施行規則第18条の18)
    二次健康診断を受けた労働者から、二次健康診断を受けた日から3ヶ月以内に二次健康診断の結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、安衛法第66条の(4)及び安衛則第51条の2第2項の規定により、提出から2ヶ月以内に、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。
    また、聴取した医師の意見は、健康診断個人票に記載しなければなりません。

  2. 健康診断実施後の措置
    事業者は、前記(1)による医師からの意見を勘案し、その必要があると認めるときは、安衛法第66条の5の規定により、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等、就業上の措置を講じなければなりません。
  3. 二次健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払
    健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働局の通達によれば、「いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、 業務遂行との関連において行われるべきものではないので、その受診のために要した時間については、当然に事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」(昭和47年9月18日付け基発第602号)とされています。
    二次健康診断を勤務時間中に受診せざるを得ない場合も同様に、その受診に要した時間に係る賃金の支払いについては、当然には労働者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものではありますが、脳・心臓疾患の発症のおそれのある労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいものと思われます。
  4. メリット制における二次健康診断等給付の取扱い
    二次健康診断等給付に要した費用の額は、メリット収支率の算定の基礎となる保険給付の額及び保険料の額には含まれません。 (労災保険料率には影響しない)

愛知労働局HP(外部リンク)

労働者災害補償保険 二次健康診断給付パンフレット

労災保険 二次健康診断等給付の請求手続き(厚生労働省)

様式第16号の10の2 二次健康診断等給付請求書(厚生労働省)

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